デッドニングDIY派の参考書(第4回)インナーバッフルの重要性!

自作のバッフル

「そもそも、なんでデットニングをするの?」

交換されたフロントドアウーファーをより良く鳴らす為ですよね。

しかしこのデットニングもフロントドアウーファーがしっかりと取付られている事が大前提となります。

今回の記事はそんなドアウーファーをしっかりと固定する為に絶対必要なインナーバッフルのお話です。

ウーファー交換・インナーバッフル取付・デットニングの同時作業も当たり前ですし、合わせ技でもありますから最後までお付き合い下さいませ!

 

 

この記事でシリーズ4回目ですが、第1回は下記からご覧頂けます。

 

インナーバッフルの役割

ドアウーファーを確実にマウントする!

純正のチープなドアスピーカーを高品位のドアウーファーに交換すると、飛躍的に音質の改善が体感できます。

そのままボルトオンで交換出来ればそれはそれで楽なんですが、ほとんどの場合不可能と言っていいでしょう。

純正スピーカーを取り外せば、フロントドアインナーパネルには大きな穴が開いています。

ここに新たに用意したドアーウーファーを取り付ける訳ですが、2つの問題があります。

平面的な問題

まず、スピーカーの固定ビス位置が全く違います。

またドアインナーパネルのスピーカーホールに対して、新たに取付するドアウーファーがピッタリ収まるとは限りません。

仮に隙間が空いてしまうとかなりの音質低下を招きます。

理由は後程説明します。

この様な平面上の問題を解決するためにもインナーバッフルを使用します。

純正ではドアインナーパネルに直接ドアスピーカーを固定していましたが、トレードインの新たなドアウーファーは、ドアインナーパネルにインナーバッフルを固定し、そのインナーバッフルにドアウーファーを固定します。

奥行きの問題

高品位のウーファー(スピーカー)ほど「質量がある!」と言って過言ではありません。

その重さの正体は巨大なマグネットです。

音響メーカーも薄型になるよう努力はしていますが、どうしてもマグネットが大きい分、スピーカーの全高(奥行き)が大きくなってしまいます。

するとどの様な弊害があるかと言えば、ドアウインドウを下げた時、当たって下がらなくなってしまう可能性があります。

ですからドアウーファーの取付位置を室内側にインセットする必要があります。

この問題はインナーバッフルで容易に調節する事が出来ます。

 

音響効果を高める!

上記の平面的問題で上手く固定は出来ても、スピーカーホールとの重ね合わせで隙間が少しでもあると、音質が犠牲になってしまい最悪です。

理由はスピーカー裏面から発せられる逆相音が反射・回折してくる通り道になってしまうからです。

またドアパネル自体が鋼(スチール)製で、非常に振動を伝えやすい事に加えて、振動が減衰しにくい性質を持っています。

更に車自体の軽量化の為に、薄い高張力鋼板が使われている為に細かい振動にはとっても弱いです。

こんなところにスピーカーを直接マウントするなんて、本来「どうかしている!」ってくらいの所業です。(笑)

これらの問題をすこしでも緩和する目的もインナーバッフルは担っています。

フロントドア自体のデットニングと相通じるものがありますね!

 

市販品も良いが、自作も楽しめる!

多様な市販品!

大手音響メーカーさんからは、各自動車メーカーに合わせたインナーバッフルがラインナップされていますね。

また、ネットでは、オーディオショップさんや個人のビルダーさんなどの商品も多数見る事ができます。

そんな市販品の中で、現時点で最高のパフォーマンスと思われる一品が、これです。

プロフェッショナルパッケージUD-K611

カロッツェリアの高音質インナーバッフル プロフェッショナルパッケージ

もちろん隼人さんもマイカーの為に購入しました。

UD-K611本体 表裏

一般的にインナーバッフルはMDF材や合板や無垢材といった木質系が多いのですが、このUD-K611(トヨタ・ダイハツ・アウディ・ボルボ車用)はスチールアンカープレートと、アルミダイキャストベースを真鍮ナットで張り合わせた、とっても贅沢な構造を持っています。

金属は木質系に比べ振動の減衰が遅いのですが、2種の金属を張り合わせる事によって、卓越した収束を実現しています。

UD-K611アップ

スチール部分にはしっかりと制振塗装を施し、カロッツェリアのロゴも入って超カッコいいです!

取り付けると全く見えなくなってしまうのが残念。(笑)

以下の画像は素材によるインパクト後の振動加速度の大きさや減衰の経過を見せてくれています。

アルミとスチールの振動減衰グラフ

金属と木質の振動減衰グラフ
出典:カロッツェリアwebサイト

そして何よりとっても重いです。

オーディオにとって「重さこそ正義!」

スピーカーのマグネットもしかり、デットニングの考え方にも通じるモノがあります!

 

※カロッツェリアさんのウェブコンテンツは許可を得て使用しています。

インナーバッフルは自作も楽しい!

自作ハイブリッドインナーバッフル

異なる物質が連続すると、途端に振動が減衰する事は上記で説明しました。

上の画像は、その性質を利用して、10年程前に作ってみたハイブリッドインナーバッフル!

30プリウス用なんですが、純正は例の楕円形状でしたから、それを埋める為に、5mmの極厚ステンレス板を使用しました。

ドアウーファーの固定と奥行き調整にはMDF材を使用しています。

とっても重く、切り抜く手間などを考えれば、ハンドメイドならではの贅沢な一品です。

 

8mm取付穴

インナーパネルの取付位置に合わせた、8mmの穴をあけたところ。

ドリルの歯先に注目!

このような金属板に大きな穴を開ける時、綺麗に決まります。

通常のドリルの歯では綺麗に開かない経験をした事があるのではないでしょうか!

スピーカー取付穴のタップ加工

ドアウーファー取付用ビスのタップを切った所。

確実な固定が、ドアウーファーおよびインナーバッフル取付の肝ですからね!

 

まとめ

「インナーバッフルをしっかりと取付すれば音質はどうなるの~?」

この質問に答えないと今回は終われない気がするんですが・・・。

本来スピーカーは理論上、無限大の面積を持つバッフルボードに取り付ければ最高のパフォーマンスを発揮するはずです。

しかし今回の対象のフロントドアウーファーは、ボックスもどきの鋼板のドア、しかも取付場所も悪い。

理想とはかけ離れた環境下に付いています。

この難題をいかに補正して行くかが、インナーバッフルの取付であり、デットニングであるわけですね。

今回例にあげた高質量のカロッツェリアUDシリーズや隼人さん特製バッフルなどを使えば、ウーファーの正しい運動限界が上がる事は容易に想像出来ます。

それによりドアウーファーの担当する中音域はしっかり再生されますし、本来得意では無い低音域のレスポンスも向上する事は間違いありません。

隼人さん的にはドアウーファーに低音を求めるのはあまり乗り気ではありませんが、サブウーファーを取り付けられない環境や事情があるのも事実です。

もしドアウーファーに可能な限り低音を求めるのであれば、高比重・高質量のインナーバッフルの選択がベターだと思います。

また木質系のインナーバッフルにも捨てがたい良さがあります。

隼人さんはそこまで作って比べた事はありませんが、素材である木質の違いによって音質も変化するようです。

入手もしやすく加工も容易で実際音質も悪くないMDF材や、これぞと思う木材を自分で切り出して装着してみれば、きっと100%の満足と愛着が得られるでしょう!

音質の結果はどうあれ(笑)「ベストはこれ!」だと思います。

 

 

最後までご覧頂きありがとうございます。

お疲れ様でした!