ロードノイズ対策【DIYの参考書4】吸音材施工は無駄な努力?

前回はロードノイズ対策における、遮音について記述しました。

今回は吸音制振についてお話します。

ロードノイズ対策での吸音施工は必要ない?

これはベースになる車によって対応が全く違ってしまいます。

当たり前のことですが、年期の入った軽自動車と最新のクラウンでは、車体の構造・構成が全く違いますから。

年期の入った軽自動車に吸音材を大量に施工すれば、多少なりとも効果はあるでしょう。

しかし最新のクラウンに大量の吸音材を施工しても、ほぼ効果が無いことが推測できます。

そもそも吸音の仕組みってどうなの?

前の記事でも説明しましたが、もう一度、吸音に絞って説明しましょう。

音は物体に当たる(入射)とある割合で跳ね返り、ある割合でその物体に吸収消費され、残りは(透過)して行きます。

これをスポンジなどの吸音材に置き換えると、入射してきた音はほとんど反射しないで吸音材を通過していきます。

質量則による。軽いものは効果が薄い。)

この通過時に運よく吸音材の繊維に当たると熱エネルギーに変換され消失します。

しかし残念ながらこの仕事量はとっても少なく、ほとんどが透過してしまうのです。

しかもロードノイズの緩和したい音は、波長の長い低い周波数帯ですからほとんどが吸音材を突き抜けてしまいます。

吸音のまとめ

上記の様に、音の性質と吸音の仕組みを考えれば、ロードノイズの低減および室内静音化については、「吸音材施工はほとんど効果がない」といえます。

イメージ上では吸音材を大量にぶち込めば静かになる感じがしますが、現実は厳しいんですね。

さて困りました・・・、吸音材が効果なければどうしましょうか?

ロードノイズ低減の本命は制振!

やっとここまで来ました。ここからが本番です。

ここでロードノイズがどうやって室内の乗員の耳まで届いているのかおさらいしましょう。

タイヤと路面の接点から直接聞こえてくるであろう空気伝搬音は除きます。エネルギー的には少ないので・・・。

ロードノイズの固体伝搬音の経路

走行中、路面上をタイヤが転がる事により発生するのがロードノイズです。

路面の状況やタイヤの個性によって異なりますね。

一般的に設計時から静寂性を考慮にいれた価格の高いコンフォートタイヤは静かだと言われています。

いっぽう、グリップ力優先のスポーツタイヤはロードノイズがうるさいですね。

最近の国産車はグレードが高くなるとグリップ力優先のハイグリップタイヤを標準で装着することが多くなりました。

これこそが、ロードノイズに不満を持つドライバーさんを増やしている一番の原因なんですけどね。

さて話をもとに戻しましょう。

タイヤが路面上を転がる時に振動が発生します。これが元凶。

ホイールに伝わり、車のサスペンションに伝わっていきます。

サスペンションからは色々な接点で車本体であるモノコックボディーへ伝わって行きます。

この接点とは、ストラットの頭とフェンダーエプロンだったり、ロワーアームやスタビライザーなどが、ボディーのメンバーに固定されてたりします。

この時、各固定箇所で緩衝材などを挟めば固体伝搬音の低減になるのでしょうが、走行性能を考えると出来る限り強度を出すほうが優先になることは当然です。

モノコックボディー自体も鋼板を組み合わせてしっかり強度が出るように溶接しています。

ロードノイズの固体伝搬音には、とっても伝わりやすい環境なんですね。

このロードノイズは前後左右4本のタイヤから発生し、車の隅々まで行き渡ります。

そしてルーフパネルやフロアパネル、インストルメントパネルなどが、こんどは車室内の空気を振動させ放射し、音として聞かせます。

だからどこから鳴っているのか分からない、不快なノイズを感じるわけです。

今まで長々と説明してきましたが、やっとここでロードノイズ低減の対策を講じることが出来ます。

ロードノイズ低減対策の方法をまとめます。

ロードノイズを完全に無くす事は、限りなく不可能に近いでしょう。

ですから「出来るだけ小さくする」努力が求められます。

ではどのような努力が有効でしょうか?箇条書きにしてみます。

1)発生源そのものをおさえる。→コンフォートタイヤへチェンジ

2)サスペンションの制振施工→制振材を施工する。

3)サスとボデイーの接合部に緩衝材を挟み込む→剛性上好ましくない。

4)モノコックボディーの制振施工→これが本命かな?

5)室内のインパネやトリムの制振施工→放射を抑制する。

ざっと以上の5つに分けてみました。

今後方法論を展開していくのは、4番と5番になります。

この2つの項目が何故有効なのか?と言えば、販売されている完成車であっても、制振処理が十分でないからです。

理由はもちろん、「制振処理=車が重くなる」そして「コストが掛かる」からですね。

だからこそ、後から付け込むスキがあるわけで、ちょっとした施工でも効果を実感できるんです!

次回からいよいよ実践に入って行きたいと思います。

まずはおすすめの制振材を紹介しましょうか!

 

追記

グーグルでの検索上、このページに辿り着いた方が多いと思います。

このロードノイズ対策シリーズは全8回の構成になっています。

よろしければ第1回からお読みになって頂く事をおススメします!

引き続き、宜しくお願い致します。

お疲れ様でした!