植木屋さんで独立するには?開業のポイントを現役プロが詳しく解説!

手入れされた枝垂れ梅

「植木屋さんて、簡単に独立開業出来るって聞いたけど本当・・・?」

結論から先に言ってしまうと「本当」です。

今時珍しく、新規参入し易い業種と言えるでしょう。

この記事では、現役で造園業を営む筆者の隼人さんが、植木屋さんになる為(開業)のポイントを解説して行きます。

 

新規参入しやすい理由

業種から見た植木屋さんのポジション(立ち位置)

この記事で述べる植木屋さんとは、主に個人宅のお庭の樹木の選定などを行って報酬を得る職種の事です。

マクロ側から絞り込んでみると、建設業法に規定された造園工事業のほんの一部の職種になります。

造園業では、公共事業を始めとした金額の大きな工事ではいろいろと規制があるのですが、個人宅を対象としたような小さな仕事では、特に国家資格が必要とか届け出が必要と言った制約はありません。

所轄の税務署に開業届を提出すれば、社会的に認められます。

納税の義務はしっかりと果しましょう!(笑)

 

仕事の難易度はピンからキリまで!

請け負う仕事の規模も大小様々ですが、仕事の難易度もピンからキリまでです。

熟練を要する高度な技術や、各種機械を駆使した仕事もある一方で、誰でも出来る様な簡単な仕事の需要も多いところを注目しましょう!

シルバー人材センターって知ってますよね。

まさに宿命のライバルです。(笑)

 

植木屋さんに向いている人、向いていない人

WEBサイト上でも良く見かけるフレーズですが、「自然が好きな人!とか植物が好きで土いじりが好きな人!」なんて明るく気持ちのいい紹介がされていますね。

しかし実際は体力的にも非常に厳しく、常に危険が付きまとう仕事です。

体感的な暑さ・寒さは半端ない・・・

真夏の暑さ、真冬の寒さは想像を遙かに超えます・・・。

特に最近の夏の暑さは半端ない。

直射日光を避けられない場所で仕事を続ける事もしばしば・・・。

全身汗でびっしょり!倒れそうになります。

実際隼人さんも暑さの影響で2週間入院した事があります。

高所での作業がとても多い

「高い所が苦手!」と言う人は植木屋さんは絶対無理です・・・。

もちろん木にも登りますし、よく使う低めの10尺の脚立でも頭の位置は3mを超えます。

「あと少しが届かない~!」って事がよくあるんですよ。

脚立の上で両足だけで踏ん張り、無理な姿勢で仕事をするのは、超怖いです。

 

常に刃物を扱う

樹木の剪定が仕事ですからね、常に何かしらの刃物を使います。

またエンジン付きや電動の機械を使う事も多いです。

注意力が散漫な方は、この仕事は向かないと言わざる得ないでしょう。

「大けがをした!」と言う話は良く聞きます。

結構チカラを使う事が多い

たとえば脚立を例にとると、脚立自体はそんなに重くはありません。

しかし大きくてバランスが悪い。これを狭い通路を通って庭に出し入れするのに難儀します。

また実際作業する為に脚立を据えたくても、狭かったり障害物があったりしてなかなか位置が決まらない・・・。

庭木一本剪定する為に、何回脚立の位置を動かす事か。

また大規模な生垣の剪定などをするとき、エンジン付きトリマーを使ったりするんですが、慣れないと1時間で両腕が上がらなくなります。

 

虫が苦手な人は無理

とにかく虫がいます!そして刺されます!(苦笑)

蚊に刺される、蟻に噛まれるのは当たり前。

毛虫(チャドク蛾など)は最大の敵だ。(苦笑)

今年の夏は毛虫の毛で足がはれ上がり、指は蜂に刺されて激痛が走り・・・、散々な目に遭った隼人さんでした。

結局、植木屋さんに向いている人って???

なんか辛い事ばかり書いてしまいましたが・・・。

結局のところ植木屋さんに向いている人って、我慢強い人責任感のある人・・・だと思います。

それから美的センスのある人

まあ植木屋さんに限らず、どんな職人さんの仕事でも皆同じですよ。

植木屋さん独立開業への3つの課題

(1)資金面

初期の投資が少なくてすむのも参入しやすい理由のひとつでしょう。

個人宅が対象ならば仕事をすれば現金収入ですから、運転資金も少額で済みます。

軽トラックは絶対必須。とくに4WDである必要はありません。

仕事が大きくて軽トラでは役不足の時は、2tダンプやユニック車をレンタルする事がよくあります。

建設機械のレンタル屋さんと契約しておきましょう。

後はアルミ製の脚立。10尺・12尺辺りをよく使います。

当然、軽トラの車庫(駐車場)や脚立などの道具置き場が必要となります。

 

(2)技術の習得

どこで技術を習得するか?

これが最大の難問でしょう。

隼人さん的には、造園業の中の植木屋さんだって、歴史ある職人の仕事なのでしっかり苦労して身に着けてもらいたい。

王道は厚労省管轄の高等技術専門校や民間の専門学校で学んだ後、大きな造園土木の会社に就職して技術と知識を身に着けるルートです。

隼人さんもこの道を通って今に至っている。

このルートのメリットはしっかりと技術と知識と資格を得る事が出来る。

デメリットはとても時間が掛かる。そしてとても厳しい・・・。

しかし今回のテーマは「出来るだけ簡単に独立したい!」と言う趣旨ですね。(笑)

これは別に悪い事では無いと思う。

出来る仕事は限定されてしまうが、それでもニーズはかなり高いと思われるから。

通信やオンライン教育もあるようですが、やはり「百聞は一見に如かず!」で実戦から学んだ方が、身に付くモノは多いでしょう。

 

(3)各種資格の取得

この植木屋さんを含めた大きな括りの造園業での各種資格をざっと紹介します。

まず国家資格として、国土交通省管轄の造園施工管理技士(1級・2級)があります。

主任技術者監理技術者として大きな工事を統括する時に必要ですから今回のテーマでは雲の上の存在です。

次に厚生労働省管轄の造園技能士(1級・2級・3級)があります。

「この資格が無いと仕事をしてはいけない!」と言った特典が無いのが残念なところ・・・。

まあ、しっかりと勉強・技術を習得しないと受からないので名誉と信頼と看板が手に入るといったところでしょうか。

また使用したい機械によって、技能講習安全衛生教育の受講が必要です。

最低でも、刈払機取扱作業者は受講・取得しておきましょう!

 

持続して継続、儲けていくには・・・!

商売の鉄則、営業力がすべて!

今回の記事は「とりあえず植木屋さんを名乗るのは簡単ですよ!」と言っているだけで、「簡単に儲かりまっせ!」とは言ってません。

独立して、そして継続して儲けて行く(生計を立てていく)のは別次元の話ですよ。

自分で営業して顧客を作り、作業して代金を頂く。

この繰り返しの訳ですが、現地で見積りしたり請求書を発行したりとの事務作業もかなりの時間を必要とします。

極端な話、営業力に自信がある方はそれだけで植木屋商売は成り立ちます。

仕事は外注に任せてしまえば良いのだから。

まあ、この様な形態は今回の記事の趣旨には反しているので、これ以上は触れませんが、「植木屋商売でも営業力は要求されますよ!」と言う事ですね。

 

顧客の狙いどころは?営業方法は?

本来は植木屋さんの守備範囲である個人宅での仕事が、シルバー人材センターや便利屋さんに食われている所が隼人さんは気に入らない。

植木屋さんの業界、もっと頑張らなくてはいけませんね!

最近の戸建て住宅のお庭は、手間や維持コストを嫌う傾向が強い。

「バッサリと綺麗にして下さい!」と言った依頼内容も多いです。

この単純な依頼をこなすだけなら誰でも出来る簡単な仕事だが、ここから更に発展させて行くのが、文字通り「腕の見せ所」なんだね!

「それでは、人工芝敷いちゃいましょうか!」とか「ウッドデッキ作っちゃいましょうか!」なんて提案するわけ。

自分に知識と技術さえあれば、仕事はどんどん広がって行くものです。

飛び込み営業もしやすい利点は大きいですよ!

住宅地の道路を車でゆっくり走っているだけでも、その家のニーズが丸見えだから。(笑)

 

 

植木屋さん独立開業のまとめ

ここまで植木屋さんとして独立開業する為の説明をしてきましたが、独立のハードルはそう高くはありません。

当然、独立後継続して仕事を続けて行く事が難しいのであって、これからのニーズに対応した戦術が必要です。

 

簡単に植木屋さんになる方法の反対のベクトルで、しっかり勉強し修行を積んで、造園家になる道筋も存在します。

特に若い方はこの方向で頑張ってほしい。

この業界も以前よりは大分理不尽な扱いは減りましたからね。

造園会社で10年がんばって施工管理技士の資格を取得すれば、一生安泰間違い無しです。

 

最後までご覧頂きありがとうございます。

お疲れ様でした!